無機質なコンクリートに囲まれた空間(マンション)に、無垢の木をふんだんに使った“何十年経っても色褪せることのない家”をコンセプトに住まいづくりがスタート。物件探しの期間は約2週間。住みたいエリア・広さが決まっていたのでマンション決定は早かったです。選んだ物件は14階建て、100世帯超規模のマンション。
築30年超、床面積は75㎡を切りますが角部屋で共用部の清掃の行き届いた管理の良さにも惹かれたようです。夫婦2人暮らし、いつかは家族が増えるかもしれないので寝室以外に個室が1つ欲しい。しかし共用スペース(リビング、ダイニング、洗面所、お風呂)はできるだけ広くとりたい。
解体後の現場です。溝のようなものが見えますが、解体前の間仕切り壁があった跡です。
水廻りの既存配管。勾配がちゃんと取れているのか?というくらいほぼ勾配がない・・・(汗)フルリノベーションでは全ての配管を新しくできるので問題なし。こちらは撤去し、1%超勾配を確保した配管経路に。
遮音性能も兼ねた床上げ材によって既存の床から20cm程度上げました。この高さは排水管の勾配がクリアになる高さで決まります。
間仕切り壁のボードを貼るための下地材が立ち上がり、ここまでくると各部屋の広さがわかりやすくなります。
完成した様子がこちら。
玄関ホールの壁面に、ぬくもりを感じさせる大谷石を採用しました。玄関の床は大判タイルと細かいタイルを採用。
大谷石は空気を多く含むため、触ったときに冷たい感じがしません。
ダイニングは天井高さを確保(2m20cm)を確保するため躯体現しにホワイト塗装を施しました。キッチンはダウンライトでスッキリさせるために(火災報知器が結局つくが)天井を作りました。結果、キッチンとダイニングの天井の高さが違うことで、目の錯覚によりダイニングの天井が高く感じられるようになります。
キッチンはL型のステンレスカウンター。将来、食洗機が必要になった際に取付けられるよう、電源、給排水を仕込んでいます。食洗機を取り付ける時は引出しを抜きだして、食洗機を設置できるようにしています。ブラックチェリーを扉面材に使用し、経年変化で味わいが増していくものも魅力的。設計・施工は久米群美崎町に工房を構える「Kitobito」さんです。愛情あふれるものづくりに惹かれて依頼しました。
吊り戸も「Kitobito」さんにキッチンと同じ材料で製作していただきました。下のガラス戸の食器棚は無印良品のものをいれています。
メインで使用した床材は「杉」。あたたかく、足ざわりの良い床材です。時間とともに、色がそろっていきます。
梁は躯体現しにして、クリア塗装。壁は調湿効果のある”けいそう壁”。レースと遮光生地が一体となったプリーツスクリーンから柔らかな日差しが差し込みます。
ダイニングの先には4帖程のリビング。天井を低く抑え、天井仕上げにシナ合板を貼りました。
窓には柔らかな光が入る障子をはめ込みました。